法人登記を行った会社であっても、極端に売り上げが少ない場合や全く売り上げがない状態では、会社を維持するためのコストが嵩むばかりです。法的には存在するものの活動停止した会社を一般的に休眠会社と呼びます。

 

会社を休眠会社に移行するのに法的手続きを行わず、無申告で休眠会社にするケースが見受けられますが、実は会社を休眠させる際には税務署や都道府県の税事務所などへの申告義務が存在し、無申告で休眠会社にしてしまうと損をすることになるので注意が必要です。

休眠会社といえども税務署に対して決算報告の義務がある?

法的に存在する法人は休眠会社であっても決算報告を行う義務があります。

 

休眠会社であれば売上げ、利益、経費が発生しませんが、法人税を管轄する税務署に対して法人税の課税対象となる経済活動を行っていないことを証明するために決算報告を行う義務があります。

地方税を管轄する都道府県の税事務所への申告は行うべき!

法人に対する市県民税は法人の存在に対して年間約7万円が課税されます。均等割りと呼ばれるこの税金は法人が解散しない限り発生するものですが、営業実態がないことを申告することで「均等割の免除」が認められるケースがあります。

 

休眠会社だからと無申告のままでは毎年約7万円が課税され続け、数年後に追徴金が加算された状態で請求を受けることになりかねないので、休眠会社に移行する場合は無申告で行うと損をする場合があります。しかし休眠に近い状態とはいえ僅かながらでも活動実績が見とめられる場合は均等割の免除が認められないので注意が必要です。

 

また均等割の免除は申告すれば必ず受けられるものではないものですから、「無申告で休眠会社にしてしまうよりはリスク回避を行える方法」だと認識しておいて下さい。

申告して休眠会社に移行するメリットとデメリットとは?

営業実態がない会社を休眠会社として存続させるべきか、解散してしまうべきかは悩むところだと言えるでしょう。この際には既に紹介した通り申告して休眠状態に移行することで、均等割の免除が適用される可能性があるので無申告で会社を休眠させるべきではないと考えられます。

 

申告して休眠会社に移行するメリットとは?

解散せずに休眠会社として存続させるメリットは必要な時にいつでも再開できると言う点だと言えます。再び法人登記の手続きを踏む必要がないのが休眠会社の最大のメリットだと言えるでしょう。

 

また休眠前に青色申告を行い多額の赤字がある状態で休眠会社に移行した場合、赤字を次期に繰り越すことができるのもメリットだと言えます。再開した場合に見込まれる将来の利益を赤字と相殺することができ税務リスクを減少させることができます。

 

しかし青色申告は2年連続申告期限を守らないと抹消されるため、無申告の状態では2年で過去の赤字を繰り越すことができなくなります。休眠会社でも申告を行うことで青色申告の優遇措置を受けることができることから、無申告で休眠会社に移行するべきではないと言えるでしょう。

 

 

申告して休眠会社に移行するデメリットとは?

休眠会社では経済活動が行われないために、金融機関から借り入れを受ける際に必要となる有効な決算報告書の作成が行えないことや均等割の免除が適用されると納税証明の発行を受けることができないことをデメリットだと感じる方が存在するかも知れません。

会社を継続させるには無申告で休眠会社に移行しないことが絶対条件

経済活動を活発に行えない状態で会社を維持していくことには、余り意味がないと考えられます。小規模な経済活動であればいったん会社を休眠状態に移行し、個人で活動することも方法のひとつだと言えるでしょう。

 

せっかく登記した会社を再び稼動させるためには、少しでも有利な状況で休眠会社に移行することが必要だと言えます。つまり休眠会社に移行する際は無申告ではなく、申告して移行することが必要だと考えられます。