税務署は税務調査によって隠し口座を見つけることができる

所得隠蔽の事例として、法人や個人が収入を隠すために銀行に「隠し口座」を作るケースがあります。

 

事業で使用している銀行口座とは別の口座を用意して、その口座に事業売上の一部を入金することで、所得を隠蔽するというパターンです。

 

会社名義ではなく個人名義の口座であるため税務署は調べられないと思われがちですが、実際はそうではありません。税務署の権限は非常に強く、個人名義の口座まで詳細に情報を収集することが可能です。

 

社長の個人口座を調べることも可能であり、また配偶者や子供などの親族関係の個人口座の入金や出金の記録を調べることもできます。

 

あるいは、事業の相手方や取引先などを税務調査することで、そこからの金銭の流れを調べることによって個人の隠し口座への入金の有無を確認する場合もあります。

単純なミスと悪質性の高いものとの違いについて

申告漏れに関しては、単純なミスによって起こる場合もあれば、積極的に売上を隠そうとするような悪質性の高いものもあります。その状況に応じて、ペナルティの課され方に違いが生じます。

 

隠している財産が発覚した場合は、無申告の場合は無申告加算税が課されますが、修正申告を行った場合については過少申告加算税がペナルティとして課されます。しかし隠し口座を作るようなケースでは、明らかに積極的な隠蔽の意図があったと判断されても仕方がありません。

 

そうなると、さらなるペナルティとして重加算税の課税があります。

 

重加算税は、本来支払うべき税金に加えて35パーセントの追徴課税が課されることになり、これは過少申告加算税よりもはるかに大きな額になります。

隠し口座は積極的な所得隠しの意図があったと判断される

重加算税は、過去にも重加算税や無申告加算税が加算されたような常習性が高い場合については、45パーセントの追加税率になるなど罰則面の強化が進んでいます。そして、期限内の税金納付がない場合には延滞税が課されます。

 

延滞税は法定納付期限の翌日から始まり、延滞の日数に応じて加算されていくため、期限が長くなればなるほど膨らんでいきます。

 

税務調査は過去7年分まで遡って調査されるため、隠蔽の事実が長くなればペナルティも大きくなっていくことになります。

 

領収書の改ざんや架空の人件費の計上などと同じように、隠し口座を作ることは隠蔽の意志があった証拠として判断されることになる可能性が高いです。