過去に流行った累積赤字会社の売買

今ではなくなりましたが、過去には累積赤字会社を売買しての節税対策が流行りました。

 

例えば、今期およそ2億円の黒字が見込まれる場合には今の法人税30%で計算すると約6,000万円の法人税が課されることになります。

 

ここで節税対策として、1億5千慢万円の赤字を抱えている休眠会社などを買収することで、2億円の黒字から1億5千万円の赤字がマイナスとなり、課税対象の黒字を5,000万円まで抑えることで法人税を1,500万円とすることができるというものです。

 

これは、法人の赤字(欠損金)は9年間繰り越しできるという仕組みを利用したもので、上記の例では、例えば1億5千万円の赤字を抱える休眠会社を3,000万円で買収できた場合には本来支払うべき法人税6,000万円から、買収額3,000万円と法人税1,500万円を差し引いて1,500万円の節税となるわけです。

 

こんなおいしい話もないということで、休眠会社の累積赤字の利用を目的とする買収が急増することになりました。

法人税では一定の条件の下では累積赤字が消えてしまう

人気化した累積赤字を持つ休眠会社の買収ですが、法人税では一定の条件下では累積赤字が消えてしまうという仕組みもあり、残念ながらほとんどのケースでは節税として認められることはありませんでした。

 

一定の条件とは簡単に説明すると、事業の売り上げがほとんどゼロになった会社、または既に社員が辞めてしまっていて休眠会社もしくは休眠に近いような状態の会社を、累積赤字を利用したい目的で買収した場合には赤字は消滅します、ということです。つまり、明らかに節税目的での累積赤字付きの休眠会社の買収は税法上は認められていないということなのです。

 

逆に言うと、事業の相乗効果を狙って、累積赤字付きの休眠会社を再生させるつもりであれば、基本的には休眠会社の累積赤字(繰越欠損金)は使えるということです。節税が可能になれば会社の資金繰りは良くなりますし、脱税ではなく、あくまで節税ができれば休眠会社の累積赤字は隠れ資産ということになり、それを利用して企業再生することは税法でも認められていることです。

累積赤字付きの休眠会社の買収のリスク

今では、累積赤字の節税利用を目的とした休眠会社の買収が行われるようなことはありませんが、バブル期などの利益が出て仕方がないという時代には真剣に検討されていた問題であり、多くの法人が脱税行為として指摘を受けることになり、中には悪質な行為として重い罪刑を科せられたケースも多くあります。

 

ただし、問題となるのは、累積赤字の節税目的ではないにもかかわらず、一定の条件に当てはまると休眠会社の赤字が消えてしまうこともあるということで、相乗効果を狙ってまともに事業を買収したはずなのに赤字が消えてしまうこともあり、休眠会社の買収の際には十分な注意が必要となります。

 

節税メリットがないのであれば、累積赤字を持つ休眠会社を買収するメリットはほとんどなく新規設立するほうがよりメリットは大きくなります。