事業を立ち上げる際に「休眠会社を買い取れば面倒な手続きが省けるのでは?」と考える方が少なくないようです。

 

特に建設業許可を持つ休眠会社はニーズが高い傾向にあると言えるでしょう。しかし建設業許可を持つ休眠会社を再稼働させる際に注意すべき点がいくつかあります。

建設業許可には有効期限がある!

建設業許可は一度取得すれば永遠に有効なものではありません。建設業許可は5年の有効期間が設定されていて、5年毎に更新手続きを行う必要があります。手続きが行われない場合、建設業許可は失効します。

 

また5年間の建設業許可の有効期間内でも、許可条件を満たすことができなくなった場合も建設業許可の効力が失われます。建設業許可を維持するためには次に挙げる条件を満たす必要があります。

 

・経営業務の管理責任者が存在すること
・専任の技術者が存在すること
・請負契約に対して誠実性を有すること
・財産的基礎、金銭的信用を有すること
・許可申請者が、一定の欠格要件に該当しないこと

 

建築業許可の有効期間内であっても、許可の条件となっている経営業務の管理責任者や専任の技術者が退職し、他に条件を満たせる人が存在しない場合は建築業許可の効力が失われます。

建設業許可を持つ休眠会社を再稼働させる際に注意すべきことは?

休眠中の建設業許可を再稼働させる際に、最も気をつけるべき点は「休眠会社が所在する都道府県に確定申告を行っているか」と「経営業務の管理責任者や専任の技術者の常勤性を証明できるか」だと言えるでしょう。

 

建設業許可を取得した事業所は、毎年所在する都道府県に決算内容を届け出る義務が発生します。この決算届の提出が1年でも欠けると更新申請を受け付けてもらえません。一般的に休眠会社は活動実績が存在しないことから、確定申告を行わなくても良いと判断されがちです。

 

確かに青色申告を取り消されるなどのデメリットはあるものの、国税が発生しないことから税務署に対する申告義務はありません。しかし建設業許可をもつ事業所が所在する都道府県や市区町村に対しては利益がない場合でも、法人市県民税を納める義務があり確定申告を行う必要があります。都道府県や市区町村に対して休業届を提出している場合も例外ではありません。

 

また休眠会社の場合建設業許可に必要な経営業務の管理責任者、専任技術者の常勤性を証明しにくいのが特徴だと言えます。常勤性の確認は会社の健康保険証で証明することができますが、社会保険に加入していない場合は源泉徴収票など給与の支給実績を証明できるものが必要となります。

 

少なくとも3ヶ月分の給与明細と給与振込を確認できる通帳のコピーなどが求められますが、給与の支給実績がない再開させたばかりの休眠会社ではこの方法が使えず、許可申請を受理してもらえません。

 

これらの点を踏まえると、建設許可を持つ休眠会社を買い取って再稼働を行うと考えるのは現実的でないと言えるでしょう。